はじめに
お疲れ様です アースキーです😊
先週、勉強会の資料を30分で作っているという話を書きました。
その記事に、書かなかったことがあります。
私はその前に、一度失敗しています
AIで資料を作って、本番でうまくいかなかった回が先にありました。
順番でいえば、失敗のほうが先です。
今回はそんな話を、
自分の言葉で書いていきます。
1. 本番で、答えられなかった
院内の勉強会の担当が回ってきました。
扱うのは四つの薬。
持ち時間は短く、口頭で説明していく形です。
資料はAIで作りました。
調べたことは全部入っている、という感覚がありました。
準備はできている、と思っていました。
説明が終わって、質疑応答になりました。
聞かれたのは、うちで使っている輸液だとどうなるか、という質問です。
答えられませんでした。
難しい質問ではありません。
むしろ、現場で使う人なら真っ先に知りたいところです。
それなのに、その答えは資料のどこにも書いていなかった。
責める人は誰もいませんでした。
それでも、答えられなかったという事実は残りました。
2. 聞かれたのは、AIの中に最初から無かった情報だった
あとから考えると、答えられなかった理由ははっきりしています。
聞かれたのは、AIの中に最初から無かった情報でした。
AIが下調べしてくれるのは、添付文書(製薬会社が作る、医療者向けの公式文書)に書かれている内容や、一般的な注意点です。
そこは速いし、当たりをつけるところまでは任せられます。
でも、次のことは違います。
・当院で採用している輸液の銘柄
・実際に投与にかけている時間
・その病棟のやり方
これは全部、私の頭の中にしかありませんでした。
どれだけ良いプロンプトを書いても、ここから先は出てきません。
境界線は、能力の差ではなく情報の在りかの差です。
自分にしか無いものを渡さないまま、資料だけ作らせていた。
それだけの話でした。
3. 「読み上げていただけだ」と、言葉になった
勉強会が終わったあと、自席で座っていました。
何が足りなかったのか、自分ではうまく言葉にできませんでした。
そこで、AIに振り返りを手伝ってもらいました。
一人だと堂々巡りになるからです。
やりとりを続けているうちに、手が止まりました。
私は資料を、読み上げていただけだ。
言葉になった瞬間に、順番が逆だったことも分かりました。
調べ切れていなかったから、読むしかなかったんです。
4. 同じ薬の話でも、測っている時間が違う
もうひとつ、資料に入れられなかったものがあります。
時間の話です。
抗生剤を溶かしたあと、混ぜたときにどうなるか(配合変化)のデータがあります。
これは添付文書ではなく、各社が出している配合変化の資料に載っています。
このデータは、溶かした直後から24時間後まで、いくつかの時点で外観や成分の残り方を見ています。
そのなかで、6時間後の値がよく引用されます。
一方で、当院の現場はどうか。
生理食塩液に溶かして、概ね1時間で投与し終えています。
どちらが正しい、という話ではありません。
資料が見ているのは理論上のリスクで、現場が動いているのは臨床上の実際です。
分けて読むもので、片方でもう片方を否定するものではない。
ここで注意点をひとつ。
溶かしたあと何時間まで置いておけるか(保存できる時間)は、また別の話です。
反省会でも、この二つを混同しないよう資料の上で区別する、と決めました。
そして投与の可否や実際の判断は、薬剤師と医師が行います。
記事の数字を、そのまま現場の判断に持ち込まないでください。
5. 落とし穴は、二つある
先週の記事と並べると、見えてくるものがあります。
勉強会の資料づくりには、落とし穴が二つあります。
・ひとつは、全部手で作って時間が溶けること
・もうひとつは、全部任せて中身が現場から浮くこと
私がやったのは、後者でした。
面白いのは、この二つが正反対に見えて、同じことをしているという点です。
どちらも、自分で考える工程を飛ばしている。
向きが違うだけでした。
手作業は「前からこうだから」で飛ばす。
AI丸投げは「出てきたからこれでいい」で飛ばす。
新しい道具を使っていても、思考停止は普通に起こります。
あなたの資料は、どちら側にありますか。
6. 二つに分けてから話す
反省会のあと、自分の作り方を組み替えました。
資料を二つの層に分けます。
下の層は「大元資料」。
調べた全部を入れておきます。
添付文書で確認したこと、当院で採用している品目、確認した日付。
人には見せません。
上の層は「発表資料」。
現場のやり方と結びつけて、話せる量まで削ったものです。
矢印は二本あります。
下から上へ「削る」。
上から下へ「質問が来たら戻る」。
読み上げないために、読み上げない分まで調べておく。
言葉にすると当たり前ですが、私はここを飛ばしていました。
ただし、正直に書いておきます。
この形は、まだ次の勉強会で試せていません。
効きましたと言える段階ではありません。
7. 本番の前に、詰まっておく
次の当番の準備は、もう始めています。
やり方を変えたのは一点だけです。
発表する前に、自分で質問を作ってみる。
聞かれて困るやつを、です。
やってみると、一つ目から答えられませんでした。
(一つ目から詰まるんかい😂)
情けない気もしましたが、これは良い出来事です。
答えられない質問が、そのまま調べ直す場所になる
本番で詰まるか、準備中に詰まるか。
起きることは同じで、順番が違うだけでした。
🧪 今日の特効薬
明日そのまま試せる形にしておきます。
資料を作り終えたあと、紙でもメモアプリでもいいので一行だけ書く。
それだけです。
【発表の前に、質問を一つ】
1. 資料を読み返して、「これを聞かれたら困る」という質問を1つ書く
2. その質問に、資料の中身だけで答えられるか試す
3. 答えられなければ、そこが調べ直す場所
・自分の施設ならどうなるか、で考えると出やすい
・答えを用意できなくてもよい。「調べ直す場所が分かった」で十分
注意をひとつ添えます。
特定の患者さんへの投与の可否や用量など、薬学的な判断そのものをAIにさせないでください。
個別の症例や個人情報も渡さないでください。
この一行の目的は、自分の準備の穴を先に見つけることだけです。
おわりに
先週の記事で、AIを使うときの約束を三つ書きました。
あれは、きれいに整理して思いついたものではありません。
この失敗のあとに決めたものです。
順番は、こちらが先でした。
一つ目の「職場で使えるものかを先に確認する」は、私が考えた決まりではありません。
所属機関で正式に承認・利用可能と判断された生成AIサービスか確認する
——日本病院薬剤師会「病院薬剤師向け生成AI利活用ガイダンス(2026年2月18日版)」基本原則の1番目
同じガイダンスは、医療機関の外での業務利用を対象外としています。
これは禁止という意味ではなく、このガイダンスでは安全性や責任のところまで面倒を見きれない、という整理です。
理由に挙げられているのはセキュリティです。
使うなら、職場が承認して管理できる環境で。
場所というより、そこが線引きです。
AIは、探す時間を短くする道具です。
確認を肩代わりする道具ではありませんでした。
このSNSでは、AIを使った学び直しメモを届けています。
まとめて読めます⏬️
次の勉強会の前に、聞かれて困る質問を一つだけ書いてみませんか。
次の勉強会の前に、聞かれて困る質問を一つだけ書いてみませんか。?














