AIにRobloxゲーム制作を任せたら、5回やり直した話
教材の外に、自分の世界が始まる
お疲れ様です。
アースキーです
はじめに
AI時代って、「個人が、自分の世界を持てる時代」
なのかもしれません。
昔なら、
ゲーム1本を作るのに、
チームと予算と何年もの時間が必要でした。
それが今は、
教材1冊と、AIと、自分の好きな世界観さえあれば、
個人でも少しずつ形にできるようになってきています。
私も先月、Robloxの教材を片手に、
酉花(とりか)というキャラクターが花を育てる世界を作り始めました。
最初の2日で、教材のDay1〜12までは進めました。
ステージもBlenderと連携して創作してくれたりと
AIの進化に感動する私がいました
(画面はAntigravityとBlenderとMCPで連携しステージを作る様子
だたしこのステージは没にしましたw)
「これは意外と作れるかも!」
そう思った瞬間に、作りたい世界が、ドンドン教材の外へはみ出していきました。
そこから先は、教材には書かれていない景色でした。
今回はそんな話を、5回やり直した格闘ログとして書いていきます。
📖 前回の記事 Robloxでゲームを作るつもりが、ゲームPVができていたお話 で「次は本当に遊べる最小単位を作る」と宣言しました。今回はその続きです。
ゲームはコチラ
https://www.roblox.com/ja/games/115737211248892/unnamed
クリプトニンジャによりAI音声解説はコチラ
1. 「AIに任せれば全部やってくれる」という幻想
最初の2日間は、本当にAIと一緒に走っている感覚でした。
「ここに置いて」と頼めば配置してくれる。
コードを書けば動いてくれる。
迷ったら次の一手を提案してくれる。
ただ、教材を抜けて「自分の世界」に入った瞬間、AIは急に道に迷い始めました。
理由は、教材が間違っていたからではありません。
「教材通りの場所にキャラを置いて」と頼むと、AIは教材を信じて、
もう動かしていた場所に、もう一度キャラを配置しようとしました。
結果、キャラは画面の外へ消えました。
そこで気付きました。
AIに任せられるのは手順であって、「今、自分の世界がどうなっているか」までは見えていなかったのです。
教材通りに進めているうちは、判断はぜんぶ教材がしてくれます。
でも、自分の世界に入った瞬間、判断はぜんぶ自分に戻ってきます。
「教材ではこう書かれている。でも、今の私の世界では、どうなっているのか?」
この問いを、AIに投げる前に、自分で1回握り直す。
それだけで、AIとの会話の質が、ぐっと変わります。
2. 自分の世界に、自分のキャラを連れてくる
教材の外に出た、もうひとつの瞬間は、キャラクター選びでした。
教材には、標準のサンプルキャラが用意されています。
そのまま使えば、確実に動くゲームは作れます。
でも、せっかく自分の世界を作るなら、その世界に住んでほしいキャラがいました。
ひとりは、花にゆかりのあるクリプトニンジャのキャラクター、酉花(とりか)。
花を育て、薬草を集める設定で、トリッカフラワーという世界の中心に立ってもらう存在です。
もうひとりは、もう少し前から動かしてきた咲耶(さくや)。
彼女にも、この世界に立ってもらいたかった。
ただ、キャラを連れてくるには、3Dモデルが必要でした。
ここで使ったのが、Meshy という、画像や指示から3Dモデルを生成するAIです。
酉花のイメージをMeshyで生成し、Blenderへ持ち込んで、表情やプロポーションを少しずつ整えていきました。
地味で、根気のいる作業でした。
でも、その地味さの中で、キャラが「教材のサンプル」から「自分の世界の住人」に変わっていく感覚がありました。
個人が自分の世界を持てる時代って、AIで一瞬に完成させる時代ではなく、AIで生み出した素材を、自分の手で住人に変えていく時代なのかもしれません。
3. 花が、ほんのり空中に浮いていた
次の違和感は、花でした。
ステージに並べた花を、よく見ると、地面から、ほんのわずかだけ浮いていたのです。
調べてみると、原因は花のモデルそれぞれが持つ「中心」の置き方でした。
AIに「この座標に置いて」と頼んでも、各モデルの “中心” の場所が、少しずつ違っていたのです。
ある花は、茎の根元が「中心」。
別の花は、花のてっぺんが「中心」。
だから同じ座標を渡しても、見た目の高さが揃わない。
解決は2段階になりました。
まず、頼んだ場所に一度置いてもらう。
そのあと、自分で底面を測って、地面との差分だけもう一度ずらす。
AIに任せた後に、もうひと手間、自分の手で測り直す。
これも、自分の手で住人にしていく時代の、地味な作法でした。
4. Blenderで描く綺麗な土地を、信じて切り替えた
ステージの土台は、最初は Roblox 上でブロックを置きながら作っていました。
ただ、しばらく作り進めるうちに、もっと綺麗な土地が欲しくなってきました。
そこで、別のソフト(Blender)でガーデン全体の景観を一枚絵のメッシュとして描き、それをRobloxに持ち込むことにしました。
確かに、見栄えは上がりました。
地面のテクスチャ、植え込みの密度、葉の重なりまで、Blenderだとずっと細かく描けます。
「これで土台問題は終わった」
そう思った瞬間がありました。
ただ、綺麗を取った代わりに、別の柔軟さを少しずつ手放していました。
ここから、思いがけない問題が静かに始まっていきます。
5. 川オブジェクトを、思い切ってやめた
その「思いがけない問題」が、川でした。
最初はRoblox側で、青いガラスの板を置いて川を表現しました。
でも、近くの祭壇に被さって見えました。
次は、薄い透明帯を放射状に配置しました。
でも、Blenderで描いた地面の上だと、見え方が安定しませんでした。
何回か作り直して、最終調整の段階で気付きました。
もしRobloxのブロックでイチから土地を作っていたら、川は地面と一緒に、ブロック単位で自由に置き直せたはずでした。
でも、Blenderで地面を一枚絵として作り込んでしまったために、その上に置く水のパーツだけで川を表現しようとすると、どうしてもズレが残ったのです。
綺麗を取った瞬間に、最終調整の柔軟さを引き換えにしていたわけです。
ふと、Blenderで描いた背景テクスチャを見直すと、すでに青い川の柄が描かれていました。
私が「川オブジェクト」だと思って積み上げていたものは、もう要らないものだったのです。
最終的に、川のパーツを全部廃止しました。
時間をかけた作業を、自分の手で消す決断は、地味に重いものでした。
でも、「あれば便利」のレベルにとどまるものは、思い切って引き算する。
自分の世界を作るというのは、足し算と同じくらい、引き算の練習でもありました。
6. 一気に任せず、ステップ・バイ・ステップで刻む
何度かのやり直しの末に、ひとつの作法に辿り着きました。
「AIに全部任せて、最後にまとめてチェックする」ではなく、
「AIに1ステップだけ任せて、確認してから次に進む」。
土地のフラット化 → 川 → 装飾 → 花 → トリガー。
工程を6つに分けて、それぞれの動作をスクショで確認しながら、ひとつずつ通しました。
このやり方に切り替えてから、修正の往復が劇的に減りました。
AIと組むときに大事なのは、「全部やって」と言わないこと。
「次の1ステップだけお願い」が口癖になると、AIは急に頼れる相棒に変わります。
AIで個人が自分の世界を作る時代って、作る速度より、刻む細かさが武器になる時代なのかもしれません。
7. テストプレイは自分でやる、AIに渡すのは結果だけ
途中から、もうひとつ大きな作法に気付きました。
最初は、テストプレイの動作確認も、ぜんぶ Claude に投げていました。
スクショを撮って、状況を文章で説明して、「これ、どうなってる?」と聞く。
これは便利でした。でも、Claude のトークンを驚くほど消費していました。
そこで、役割を分け直しました。
実機でのテストプレイは、自分でやる。
そのうえで、結果(うまくいった/いかなかった/どこが変だった)だけを Claude に伝える。
これだけで、トークン消費が劇的に減りました。
そして、Claude は「自分が見たもの」ではなく「私が見たもの」を起点に、深い修正のほうを担ってくれるようになりました。
AIにあらゆることをやらせるよりも、人間とAIで役割を分けたほうが、結果的に深いところまで進めます。
AIで個人が世界を作る時代って、AIをすべてに使う時代ではなく、AIに何を任せて、何を自分の手で残すかを設計する時代でもあるのかもしれません。
8. 個人が複数のAIを使い分ける時代の、現実
このプロジェクトを通して、AIツールの使い方も整理されてきました。
私は以前から使い慣れていた Antigravityというツールの拡張機能に
Codex、Claudeを入れで両方を使ってトークンの節約しながら
両者の作業を並行して行いました。
そこで気づいたのはツールの性能差
実体験ベースで、ざっくりこんな感触です。
■ 使ったAIツールの感触
Claude
強み: 状況把握・指示の反映が深い
弱み: トークン消費が早い
Codex
強み: 大枠のコード生成が安定
弱み: 細部の判断が浅いことがある
Gemini Flash
強み: 速度が速い
弱み: ミスが多い
特に Gemini Flash の「速いけどミスが多い」挙動を見ながら、ふと 自分の仕事みたいだ と思ってしまいました。
AIに、なぜか同情した瞬間でした(笑)。
この経験から学んだのは、ツールはなるべく1つに通したほうが、結果的に時間もメンタルも節約になるということです。
LLMごとに「頭脳の癖」が違うので、複数を併用すると、思いがけない事故が起きやすい。
個人が自分の世界を作るって、案外、装備よりも「装備を変えすぎない」ことが効くのかもしれません。
🚨 番外編: 公開直前、フリーモデルにバックドアが仕込まれていた話
実は今回、公開ボタンを押す直前に、もうひとつ事件がありました。
咲耶エリアに使うために Creator Store からダウンロードした「鳥居」のフリーモデルに、カモフラージュされたバックドアが仕込まれていたのです。
たった1関数だけが、偽の「Error 501」UI を画面に出してプレイヤーを騙し、悪意あるコードをコマンドバーに貼り付けさせる手口でした。
幸い被害ゼロで駆除完了し、再現性のある検査スクリプトを Claude と組みました。
ここでの教訓は、これに尽きます。
AIで生産性が上がる時代こそ、検査する力がボトルネックになる。
フリーモデルを疑う癖と、フリー情報を疑う癖は、根っこが同じ。
📖 詳細はこちらの記事にまとめています
Roblox公開直前、フリーモデルにバックドアが仕込まれていた話
9. リリース後、コミュニティが教えてくれた “本当の品質”
公開ボタンを押した瞬間に、ゲームは完成しません。
公開当日、NinjaDAO のメンバーがすぐにトリッカフラワーを遊んでくれて、2つの指摘をくれました。
ひとつは「スマホ縦持ちで開くと、最初のミッションUIが見切れる」。
もうひとつは「途中でやり直すリセット機能が欲しい」。
両方とも、自分でも気付けたはずの問題でした。
でも、ひとりで作ってひとりで触っていたら、何ヶ月も気付けなかったかもしれません。
指摘から修正・再公開まで、約2時間。
ここで思いました。
AIで個人制作の速度が上がるほど、気付けない盲点の重さが、相対的に増えていきます。
そして、その盲点を埋めてくれるのは、AIではなく、触ってくれる他人の目でした。
コミュニティに参加するって、教材費や時間の対価が「他人の目への即時アクセス権」なのだと、初めて体感できました。
これは、医療現場のカンファレンス文化と同じ構造でした。
ひとりで薬歴を書いても見落としは消えません。複数の目で同じ患者さんを見るから、自分の盲点に気付ける。
AI時代の品質保証は、人間のコミュニティというレイヤーで起きるのかもしれません。
おわりに
AI時代の「ものづくり」って、コードを書くことそのものではなくなってきている気がしています。
教材の中にいるあいだは、判断はぜんぶ教材がしてくれます。
AIに任せれば、手順もぜんぶ流れていきます。
でも、教材の外に出た瞬間、「自分の世界を、どう設計するか」が手元に戻ってきます。
そこを引き受けることが、AI時代の “ものづくり” なのかもしれません。
5回のやり直しで残ったのは、コードでも完成品でもなく、自分の世界に対する解像度でした。
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あなたも、AIと一緒に何か作っている途中で、
教材の外へはみ出した瞬間はありませんか?
ゲームはコチラ
https://www.roblox.com/ja/games/115737211248892/unnamed

















